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これまでの受賞者

2016年度 優良賞受賞

『ビジネスの世界で活きる自分らしさ』
経営リソース統括部 総務部 黒田 菜々美

「社会人デビューおめでとうございます。いよいよビジネスの世界であなたらしさを発揮するステージに入りました。」
入社して二週間経った頃に行われたビジネスマナー研修の冒頭、講師から聞いた言葉であるが、私は会社で働くことに自分らしさは必要なのだろうか、と疑問に感じた。

自身の経験を振り返ると、学生時代、飲食店でアルバイトをしていた時、新規のお客様が少ないことに気付いた。
そこで、店先に黒板を設置して、おすすめのメニューや季節のイラストを描いてはどうかと提案した。新規のお客様が少ないのは、店の中が見づらく、入りにくい雰囲気があるのではないかと考えたからだ。
そのアイディアは採用され、私が描いた黒板を店先に置くようになった。その結果、新規のお客様がよく来店するようになり、問題を解決することができた。
店の雰囲気を守ろうとするだけでは、新規のお客様増加という目標は達成されない。私は解決したい問題に、どうアプローチするか考え、行動した。その結果、利益を伸ばすことができたのだ。
ビジネスマナー研修のあと、この経験を思い出していた。誰よりも早く問題に気付き、解決に向けて率先して行動できることが私らしさであり、強みなのだ。それを発揮することで利益に貢献できた。
ビジネスの世界でも、同じことを求められているのだと感じた。

そして、入社して一ヶ月半経った頃から、工場実習が始まった。私は、部品棚から部品を取り出し、パレットに並べ、ラインへ供給するという工程に配属された。
工程に慣れた頃、部品箱からボルトを取り出すときに、落としてしまったことがあった。ボルトは、自分で拾える場所に落ちていた。
見失った場合は、探していると工程に遅れが生じるのでサブリーダーを呼んで探してもらうしかない。だが、自分で拾える範囲にあるのに、わざわざ呼んで拾ってもらうのは申し訳ないと思っていた。
しかし、もし落とした衝撃でボルトが少しでも歪んでいたら、傷がついていたら、その部品が使われた製品はどうなるのだろう。そう思うと自分では判断できないことだと気付き、サブリーダーを呼び、確認していただいた。
また、サブリーダーを呼べたのには、コミュニケーションという土台があったからだと考える。相手の方からもやりにくくないか、気にかけてくれることが多く、打ち明けやすい環境ができていた。

工場では、オペレータのささいな気付きを重要視しているのだ。作業のしやすさを追究することや、工程の違和感を無くすことは、製造される製品の品質を守ることに直結するからだと気づいた。
一人ひとりが普段と違うことに敏感な姿勢でいることや、製造ライン全体が一つのチームとなって、品質を守っていることを知った。
このことから、ビジネスの世界は、ただ自分の強みだけを発揮する場所ではない、仕事はチームで行っているのだと気付いた。
そもそも「自分らしさ」とは、その人の性格や強み、価値観など「自分自身」を表すものだ。企業は、それらを発揮し、利益を上げることに期待して雇用したのだ。
しかし、それらをチームの中で発揮するのは簡単なことではない。単に個の知識力や能力が高いだけでは、チームとしての力は最大限に発揮されないからだ。
個の力を発揮するためには、「自分らしさ」をお互いに認め合い、受け入れ合うことが必要である。それによって、意見を発信しやすい環境が構築され、情報共有を円滑に行うことができるのだ。
そして、個人としても、チームとしても、生産性、創造性が向上すると考える。

当社は「感動創造企業」という企業目的を掲げているグループ会社の一つである。「感動」とは、単に美しいと思う気持ちや、機能的だと感じることを超えた何かだと考える。
何か、というのは人それぞれに感じるものだが、それらは「期待以上である」ということには間違いないだろう。
したがって、固定観念や既成概念から、感動させるものは生まれないと考える。それらにとらわれず、考え出されたアイディアや気付きが、感動を生むためには必要不可欠なのである。

私は今後、システムエンジニアとして多くのユーザが利用するシステムを開発する。システムは一人では完成しない。
多くのシステムエンジニアと実際のユーザが一つのチームとなり、システムは開発される。その中で、チームの一員であることに自信を持ち、気付きやアイディアを発信することを大切にしていきたい。
そして、私の強みを活かしてユーザが困っていることにいち早く気付き、様々な視点からアプローチしていく。
さらに将来、情報共有を円滑に行えるチームづくりをすることで、チームから信頼される存在となりたい。

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