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これまでの受賞者

2015年度 努力賞受賞

『考え方の違いを共有するために』
経営リソース統括部 総務部 弓場 誉介

大学・大学院の研究活動は、基本は主に一人で進めていた。私一人の考えで物事を進めることに問題はなかった。

しかし、社会では私だけの考えで物事は進まない。様々な人の考えで進んでいる。ここで、お互いの考え方の違いを共有することが必要になる。
そのことを強く意識したきっかけは、四月に行われたピラミッド製作シミュレーションと呼ばれる研修である。一チーム八人ずつに分かれ、チーム内でリーダー、会計、設計図作製、切断、接合、検品担当を決める。
厚紙を用いて正四角錐を作成、納期までに規定数納めるために話し合い、実行することで工場生産の流れと品質の重要性を学ぶ。
私はリーダーと設計図作製を担当した。できるだけメンバーの考えを聞き、反映することがリーダーの役割だと信じ行動した。一回目の納期を終え、品質条件・納品数どちらも達成できなかった。そこでまず品質を重視するメンバーの考えを反映した。
次の納期では品質を満たす製品はできたが、前回より納品数が減ってしまった。品質を保ったまま納品数を増やすためにできるだけメンバーの考えを反映した。
しかし、最後の納期直前まで品質を満たす製品を規定数納品する考えがまとまらなかった。その結果、チームの方向性を見失い、一度も規定数納めることができなかった。考えをただ反映させるのではない。皆の考えを受けた上でリーダー自身の考えをチームの進む方向として決定し、指示してほしかった。最後の納期直前の反省会でメンバーに指摘されたことである。
ここで私は初めて、私とメンバーの間に考え方の違いがあることに気付いた。まとめ役に徹しようとした私自信の考えに固執したことが、チームを目標達成へ牽引するリーダーの役割を果たしていないことも失敗である。
リーダーである私の考えが分からないままでは、チームはまとまらず目標を達成することはできない。

私はこの反省から、リーダーとして私が果たすべき役割を考え直した。メンバーの意見を元に、期限とそれまでに作成する正四角錐の目標数を設定した。また各作業工程の作業手順や検査基準を確定し、目標に到達するよう積極的に指示した。
そうして皆の考えを一つにし、チーム一丸となって目標を達成できるよう取り組んだ。その結果、最後の納期では品質を満たした目標の納品数を達成することができた。お互いの考え方を共有することが、チーム一丸となって目標を達成するために必要であると学んだ。

チーム内でリーダーや上司に与えられる役割は様々である。その役割をしっかり自覚した上で、自らの考えをチーム全体に発信することが必要である。
ピラミッド研修では皆年齢や立場が似ていたため、恐れず考えを発信することができた。しかし年齢や立場が大きく違っても、恐れず自らの考え方をチーム全体に発信しなければチームで考えを共有できない。
システムエンジニアとしてシステム開発や運用の仕事を進める際も、チームで進めることが多い。その中で、メンバーそれぞれ方針に対する考え方や仕事の進め方に違いがあるはずだ。その違いを知らないまま、あるいは気づいてもお互いの考え方を共有できていない。
そのような状態だと、チーム一丸となって掲げた目標を実現することはできない。ピラミッド研修で感じたように、お互いの考え方を共有することが重要である。ではそのために、私の考えを恐れずにチームへ発信するにはどうすればよいか。
それは様々な立場、異なる会社の方々でも、機会があれば積極的にコミュニケーションをとることである。その中で私の考えを述べ、どう伝わったか、考え方は正しいか指摘していただくことで考え方や表現方法を洗練する。また相手の考え方を理解し、私の考え方に取り入れる。この流れを何度も経験し習慣づけ、環境を構築する。そうすれば、どんな方にも恐れることなく発信できる私の考え方が確立できる。あらゆる場面で、臆することなく私の考えを発信することで相手と考え方の違いを共有できる。これにより、目標の品質レベルであり納期を守れた製品作りができる。
日々の業務から考え方を洗練し、私の考えを恐れず相手に発信する。そうして、立場や年齢に関係なく皆が自らの考えを発信できれば、すぐにお互いの考え方の違いを共有することができる。そうすれば、迅速にチームが目標を達成するために皆が納得できる方針を立てることができる。そして、チームが目標に向かって一丸となって進み、目標を達成することができる。日々このことを意識し、チーム全体、さらに会社に貢献できる社員になれるよう今後も成長し続けたい。

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