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これまでの受賞者

2012年度 第2席受賞

『企業を支えるチーム作り』
経営リソース統括部 総務部 戸根木 千洋

2012年4月、私を含め七名の新入社員が入社した。当社では、同じ入社年度の社員を総称し、「○○社員」という呼び方をする。そのため、私たちは「12(いちにー)社員」と呼ばれることになった。

「チームの中でどんなパフォーマンスをとれるか」

研修中に聞いた言葉である。チームというのは、会社全体のことを指し、配属される部門・グループを指し、さらには12社員のことを指す。私たちは12社員という一つのチームとして研修に取り組むことになったのである。研修は一年間という長期に渡って行われ、それらの多くの期間を共に過ごし、協力して乗り越えることが求められている。
就職活動中、研修が一年間行われると聞いて驚いた記憶がある。配属後も研修が続くといった形ではなく、配属前に一年間の研修が行われる。当社のようなIT企業では、専門技術を研修で指導するため、比較的長く研修が行われる傾向にあるが、それでも一年間の研修を行う企業は極めて少数である。この点は、私が当社への入社を決意した理由の一つでもある。しっかりとした研修プログラムを通して、自分の力を向上させることができる機会が魅力的に映ったのである。

実際に、現在までの四ヶ月の研修で様々なことを体験した。基礎研修では会社理解やビジネスマナーを学び、IT研修ではシステム構築の基本を理解し、工場実習では業務で関わる製品のことを知ることができた。入社前の思惑通り、新しいことを学ぶ機会が用意されていたのである。

さらに、私の思惑を超えることもあった。個人としての成長の機会だけでなく、チームの中での成長の機会が与えられているという点である。12社員というチームで動くことが多いため、チームの中での自分というものを考えることができる。チームにとって今必要な行動は何であって、そのために自分がやるべきことは何であるのか。チームメンバーの中での自分の立ち位置はどこで、どのような役割をこなすべきなのか。これらの問いに考え続けることが、チーム内での自分を確立し、チームがよりよいパフォーマンスをとるための第一歩なのではないかと思う。

さらに、チーム全体のことについて考えることもできる。チーム力を上げるためには何が必要なのか。チームの目標をどこに設定し、どのようなチームカラーを目指すのか。会社というチームではすでにミッションやビジョンが与えられているが、12社員という小さなチームでは白紙の状態からスタートすることになる。いわば、12社員というチーム作りをすることも研修の一環であると考えることができる。

チーム作りに正解などない。チームの数だけ異なるチームカラーが存在する。今年も夏の高校野球地方大会が始まったが、高校野球を観戦しているとそのように思わざるを得ない。打撃が売りのチーム、堅実な守りで一点を守り抜くチーム、足で掻き回すチーム、過去に優勝したチームは決して画一的ではない。そのチームにとって最もよい「チームの形」を見極め、チームメンバーそれぞれが役割を果たせるチームが強いチームなのである。さらに、当然とも言えるが、チームメンバーそれぞれの「個の力」はチーム力に影響を与える。それぞれが役割を果たせるだけの力を持っていなければならない。それも高水準で役割を果たせるチームほどチーム力が高くなる。そのため、個の成長はチームの成長に直結すると言える。また、チームとして作業をしていないときにもチーム力は発揮されると私は考える。大学時代、私の所属していた研究室では研究は個人で行っていて、チーム作業はほとんどなかった。しかし、私は一つのチームであるという意識を持っていた。お互いの研究内容や苦戦している箇所について話し合い、何度もアドバイスに助けられた。進捗度合を聞くことで、私も頑張らなきゃとモチベーションが上がった。休憩中には雑談をすることでリフレッシュすることができた。研究室のメンバーがいたことで、気分的に楽しく作業することができたのである。

このように、「コミュニケーション」は精神面に作用し、チーム力を上げることにつながる。信頼関係を作り、チームの雰囲気をよくすることも大切である。チームとして作業をしていないときにも、メンバーとの関わりを重んじたい。
つまり、チーム力を上げるためには、「チームの形」の確立、「個の力」の向上、チーム間の「コミュニケーション」の強化の3つが重要である。 私はチームの中の一員であるということを念頭に置き、チームの絆を大切にしたい。そして、12社員のチーム力、如いては当社のチーム力に貢献できるよう成長していきたい。

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