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2018年度 第1席受賞

『コミュニケーションの効果』
ヤマハモーターソリューション株式会社 川口 祐史(かわぐち ゆうと)

企業が競争力を高めていくためには、社内コミュニケーションが重要になる。活発な社内コミュニケーションが社員の生産性を上げ、ひいては企業の競争力向上に繋がっていくからである。

日本経済団体連合会が行った新卒採用に関するアンケート調査によると、企業が選考にあたって特に重視する点の第一位は、コミュニケーション能力である。なぜコミュニケーション能力が重視されるのか。

私は、新人研修として行われた二ヶ月間の工場実習で、コミュニケーションの重要性について学ぶことができた。きっかけはラインが止まってしまった時の私の行動である。ラインが止まってしまった時は、掃除をすることになっていたが、それだけではもったいないと考えるようになった。初めは、自分に何ができるかすら分からなかったので、簡単なことから始めてみることにした。社員の方に「何かできることはありますか」と一言声を掛けるようにしたのである。これを行うことで掃除以外の作業を依頼されるようになったというメリットと、それ以外にも、もうひとつメリットがあった。それは工場実習開始当初から、あまりコミュニケーションを取る機会が無かった社員の方々と、「何かできることはありますか」という会話から自然とコミュニケーションを取ることができるようになったことである。コミュニケーションを取り、徐々に信頼関係が構築されると、自分が作業中に疑問を持った時や、問題が発生した時に報告、連絡、相談がしやすい雰囲気が作られていった。報連相がしやすい雰囲気が作られたことで、作業中に疑問が出ると、それをそのままにせず、積極的に質問して解決していくことができるようになった。そして仕事をより深く理解し、より自分を成長させることができたのである。

この「何かできることはありますか」という質問は毎回同じ方にするのではなく、職場の様々な方に聞くことを意識した。そうすることで、コミュニケーションが拡がり、社員の方々がそれぞれどのようなことをしているか、分かるようになった。すると作業の質問を、誰に聞くことが適切か分かるようになり、問題解決のスピードが上がり、業務の効率が上がった。

「何かできることはありますか」という簡単な一言がコミュニケーションに繋がり、信頼関係を構築し、それと同時に業務の理解を深めることができたのである。

この経験から、私は社内でコミュニケーションが活発に行われることのメリットは二つあると考える。一つ目は、信頼関係が構築されるということだ。コミュニケーションが活発になり、信頼関係が構築、強化されることでチームとしての意識ができ、チーム力が向上する。一人でできることは限られているが、チームとして働くことで一人ではできないこともできるようになり、大きな力を発揮することができるのである。二つ目は、情報共有が適切にできるようになるということだ。情報共有が活発になると、知りたい情報を手に入れやすくなることで、問題解決のスピードが上がり、業務効率も上がる。個人の業務効率が上がることで、チーム全体の業務効率も向上するのである。

ここまでは、個人の横のコミュニケーションについて述べてきた。社会人になり、私は経営側と社員という縦のコミュニケーションの重要性についても学んだ。縦のコミュニケーションが取られないと、どうなるだろうか。企業にはそれぞれ経営目標や経営計画がある。全社の目標を受けて部門目標が設定され、それに沿った個人の目標を設定する必要がある。縦のコミュニケーションが不足し、社員が経営目標を正確に理解できなければ、それぞれが別の方向を向いた目標になってしまう。それでは企業という一つのチームとして競争力を発揮していくことは難しいだろう。当社では、企業としての経営目標や経営計画を共有するために、一年に一度社員大会という全社員が一堂に会するイベントがある。これによって、各部門、各チームで役割は違うが、企業としての目指すべき姿を共有することができ、企業という一つのチームとして力を発揮していくことができるのである。このように縦のコミュニケーションを取っていくことも企業として非常に重要なのである。

企業が競争力を向上させるためには、コミュニケーションの活性化が必要不可欠である。私は工場実習の経験から、個人の横のコミュニケーションの重要性を学んだ。また当社で開催される社員大会に参加し、経営側から社員への縦のコミュニケーションの重要性を学んだ。この学んだことを活かし、社内コミュニケーションを積極的に取ることができる人材に成長し、企業の競争力向上に貢献していきたいと考えている。

参考文献
・「二〇一七年度新卒採用に関するアンケート調査結果」
URL http://www.keidanren.or.jp/policy/2017/096.pdf
平成三十年七月二十三日閲覧

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