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これまでの受賞者

2010年度 努力賞受賞

『社会に感動を与えるために~繋がる輪と力~』
経営リソース統括部 総務部 櫻井 亮輔

「君達は会社人ではなく社会人である」

これは、入社後のオリエンテーションで言われた一言だ。社会の人が、一つの旗の下に集まったのが会社である。つまり、会社は一つのチームであり、皆が同じビジョンを描き、進んでいかなければならない。

私は半年前、人材育成を重視して会社選びを行っていた。人材力の強化をしている会社で、自分自身の能力を高めようと考えていたためだ。私は、大学時代に情報系の大学に通っていた。そこでは、プログラミングやレポートは基本的に一人で行うもので、自分だけが頼りであった。社会に出ても、一人で生き抜く力を身に付けることを最優先に考えていた。

そんな中、IT会社である当社に魅力を感じた。新人教育に一年をかけ、その後もOJTという形で二年間の研修があるためだ。一方、それとは対照的に「世界トップレベルのチーム力で顧客の期待を超えるトータルITソリューション企業となる」というビジョンに惹かれた自分もいた。

入社後、驚かされたことがある。それは、多くの研修が「チーム」で行うということだ。

当社では、入社後、新入社員は一つの部に配属される。一年の研修の間、私達は常に机を並べて作業し、一つのチームとして扱われる。基本的に個人で行う作業は少なく、常にチームで話し合い、切磋琢磨しながら研修を行っている。

また、「チームで工夫」を求められることも多い。その大切さを感じたのが、ピラミッド製造シミュレーション研修だ。これは一つのチームを工場と見なし、三角錐を製造・販売することで利益を上げていくといった内容のものだ。ここでは、各個人がそれぞれの役割を果たすことで品質の高い三角錐が作られるようになっていた。しかし、それだけではなく、チーム内で意見を出し合い、製造工程を工夫することが重要なポイントとなっていた。しかし、私が属するチームでは、適材適所は考えていたものの、チーム内で製造工程を工夫することはあまりなく、結果的に利益を上げることができなかった。

「工夫」という言葉は、会社内でよく耳にする。これは、それまで私が求めてきた個人の能力強化に繋がることだと思う。工夫はあらゆる場面で見られ、日報や週報、朝会の仕方まで工夫することが求められる。日々の工夫を絶やさないことで、個人の考え抜く力や前に踏み出す力が養われるのだ。そして「チームで行う工夫」とは、個々の社会人基礎力を十分に発揮し、より良い物やアイデアを生み出すためのものだと思う。

社会人基礎力には、「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」があるといわれる。これは、個々の力を表現したものであり、私はこの中でも考え抜く力と前に踏み出す力を伸ばすことが、自身の能力強化に繋がると考えてきた。しかし、「チームで働く力」も個々の能力の一部であり、それを伸ばすことも自身の能力強化に繋がるのだ。チームに関しても、同じことが言えるのかもしれない。チームにも同じように社会人基礎力、言うなれば、チーム基礎力があり、「チームで考え抜く力」「チームで前に踏み出す力」「チームがチーム(社会)で働く力」があるように思える。そしてこれが、一般的に「チーム力」と言われるものだと思う。

チーム力の重要性は、今年開催されたサッカーW杯でも、日本代表の予選突破という形で証明された。これは、選手達が個々の役割を全うしたこともそうだが、監督含め、皆で話し合い、工夫することで、自分達のスタイルを築き上げた結果であろう。一方、チーム内で意見が対立したフランスやイタリアは、予選敗退という結果に終わっている。

ビジネスの世界でも、このスポーツと似ている部分がある。当社は「顧客の期待を超える」ことをビジョンの中で掲げている。これは、顧客に「感動」を与えるということだ。企業を一つの「チーム」と見なすならば、日本代表が感動を与えてくれたように、チームで工夫し、結果を出すことで社会(顧客)に感動を与えることができる。更に、そのためには企業という一つのチームの中にあるいくつものチーム(一般的には部署)もそこで工夫しなければならない。私達新入社員はその中に属するチームであるだろう。私達のチーム基礎力が向上することで、結果的に部署のチーム基礎力や企業のチーム基礎力に繋がり、感動を与えることができる。

「私は会社人ではなく社会人である」

一つの旗の下に集まった私達は、同じビジョンを描いている「チーム」である。このチームで顧客の期待を超え、感動を社会に伝えるために、私は今、個人の社会人基礎力を高め、身近な「チーム」に貢献し、日々成長し続けなければならない。

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